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致命傷を回避するための経営実践ノウハウ集

致命傷を回避するための経営実践ノウハウ集
2023年2月20日

ハッピーリタイアを実現する経営者保証の解除

事業承継・M&A

翠星企画株式会社、パートナーコンサルタントの相澤和彦です。

ハッピーリタイアとは、豊かな老後資金を確保して悠々自適の引退生活に入ることを言います。

M&Aの用語ですが、

「スムーズな事業承継を行い、親族や社員の方へ安心して会社を任せられる」

と言った意味も含まれると私は思います。

現在、経営者の3人に1人が70台以上の経営者となっており、経営者の高齢化が進行しています。

事業を承継したくても出来ない理由は、

「後継者不在」

「経営者保証の引継ぎ問題」

があります。

後継者候補がいても承継を拒否している理由の約6割が経営者保証です。

後継者が見つからないまま廃業してしまうと、これまで維持してきた雇用や技術、ノウハウが失われてしまい、地域経済及び国内経済にとっても大きな損失となります。

そのような状況を改善する為、2013年、「経営者保証ガイドラインの3つの要件」が策定され、2019年には「事業承継時の経営者保証の解除に向けた総合的な対策」が実施され、2020年には、事業承継時に一定の要件を満たすと経営者保証が不要になる事業承継特別保証制度の運用が開始されました。

その結果、2022年度上期の経営者保証に依存しない新規融資の割合が、政府系金融機関では52%、民間金融機関では33%まで向上しました。

そして、さらなる経営者保証の解除に向けて、2022年11月に「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針等の一部改正(案)」が公表されました。

その内容とは、金融機関に対し「どの部分が十分ではない為に保証契約が必要となるのか、個別具体の内容」「どのような改善を図れば保証契約の変更・解除の可能性が高まるか、個別具体の内容」「資産・収益力については定量的、その他の要素については客観的・具体的な目線を可能な限り示すことを」債務者に説明し、書面又は電子的方法で記録する事を求めるものです。

今後、経営者保証の解除はさらに進むものと思われますが、どのような要件を満たせは経営者保証を解除できるのでしょうか。

経営者保証のガイドラインでは、経営者保証の会場に必要な3つの要件をこのように定めています。

①法人個人の分離

資産の所有やお金のやり取りに関して、法人と経営者が明確に区分されている事が必要です。例えば、役員貸付金、借入金の解消、また、経費に関しても経営者の個人的な支出を計上していない事が求められます。

②財務基盤の強化

財務基盤が強化されており、法人のみの資産や収益力で借入金の返済が可能である事が必要です。例えば、経営計画の見直し、営業力強化、遊休資産の売却、経費の削減等により売り上げを拡大させ、経費を削減し財務基盤の安定化を図ることが重要です。

③経営の透明性の確保

金融機関に対し、適時適切に財務情報が開示されている事が必要です。例えば、策定した経営計画や試算表を金融機関と共有する事が上げられます。また、共有するだけでなく、計画と実績を評価・分析し、今後の対策を提示する等、着実に計画を遂行する事が重要です。

経営者保証の解除の流れとしては、事業承継時に一定の要件を満たすと経営者保証が不要になる事業承継特別保証制度の利用が考えられます。事業承継特別保証制度を利用するには、

  • ⑴資産超過である
  • ⑵EBITDA有利子負債倍率=(借入金・社債―現預金)÷(営業利益+減価償却費)が15倍以内である
  • ⑶法人・個人の分離がなされている
  • ⑷返済緩和している借入金がない

以上4つの要件が必要となります。

事業承継特別保証制度を利用する事により、金融機関の借入金の一本化、または返済原資の確保による資金繰りの安定化を図る事が考えられます。

経営者保証の解除への取組には、自社の経営を見直し、経営課題の抽出や課題解決方法を考えなければなりません。そして、事業承継計画の策定も必要となります。

経営者保証を解除する事で負担感を軽減させ、スムーズな事業承継を実施し、新しい経営者が新しい事にチャレンジできる環境を作りましょう。

以上、参考になれば幸いです。

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