仙台・宮城の中小企業診断士 / 経営コンサルタント 翠星企画株式会社 代表取締役 細野哲平ブログ

東北地方の中小企業経営者が会社を経営していくうえで
役立つであろう内容を中心にお届けしていきます。

小さな会社が中国市場を開拓する方法

2017年7月5日
先日、宮城県よろず支援拠点と宮城県商工会連合会の主催で行った海外展開セミナーで、「小さな会社が中国市場を開拓する方法」というタイトルでお話しさせていただきました。
 
今回のエントリーでは、セミナーにお越しになれなかった方のために簡単にセミナー内容のご紹介をしたいと思います。
 
今回のテーマは日用品や食品といった一般消費財の販路開拓です。
中国で人気の商品としては、化粧品、健康・美容器具、食品(お菓子含む)、健康食品、乳幼児向け商品などが挙げられます。
キーワードは「肌に直接触れるもの」、それから「口に入れるもの」です。
このあたりから取扱い商品候補を考えられるとよいかと思います。
 
販路開拓のための手段として、以下の4つをご紹介しました。
◆展示会
出展には相応の費用と手間がかかるが、上手くやれば効率的に見込み客を開拓できる。
 
◆訪問営業
直接、現地の会社に連絡した上で訪問営業をする。個人的にはこれが一番費用対効果が高いと感じている。
 
◆インターネット
ネット上で商品をPRし、問い合わせに繋げる。最近流行りの越境ECもこの類型。
 
◆紹介
誰かからバイヤーを紹介してもらう。簡単そうに見えるが、まず紹介してくれる人がいることが前提。
 
 
それから、売りに行く前に考えるべきこととして、以下の4点を挙げました。
◆目的
何のために海外展開する?会社として取り組む意味、事業全体としての位置付は?
 
◆市場の状況
類似商品、競合、ラインナップ、価格帯、消費者嗜好に合うか
 
◆取引条件
輸送や保険の費用分担、納期、輸送方法、支払いタイミング。
海外取引は基本的に保険を活用することでノーリスクで行えるようにするべき。
契約書は事細かに決める必要がある。中国では契約書に明記されていないことは無いものとみなされる。また、日本の契約書にありがちな「誠意をもって協議する」といった文言は無意味。
 
◆事業計画
この事業をやることでどのくらい収益を見込むのか、いつまでに黒字化させるか、投資を回収するか、想定リスクとその対策。
 
 
また、最低限準備すべきものとして、以下の3点を挙げました。
◆会社案内
簡単でよい。会社の基本情報と主力取扱商品の紹介くらい。中国語版が望ましい。
 
◆商品資料
商品ごとの説明資料。こちらも中国語版が望ましい。
 
◆価格シート
取扱い商品の価格表。通常の国内卸価格、いわゆる工場出し価格だけでは、海外の相手は相手国の物流に明るくないため、取引の判断が難しい。
最低でも海外向け梱包をして、港や空港までの運賃も含んだ、いわゆるFOBの価格を提示すること。
 
その他に、商品PRの際の注意点、比較的低コストで行えるPR方法などの紹介を行いました。
 
 
以上、簡単にセミナーの内容のご紹介でした。
 
 
セミナー終了後、何人かの参加者の方とお話させていただきましたが、かなり具体的に中国への販路開拓を考えられている方もいらっしゃるようでした。
 
今回のセミナーでは正味20分程度の時間でお話したので、当日はだいぶ駆け足になってしまいましたが、今月下旬と再来月上旬に今回のセミナーの詳細版を行います。
 
7/29(土)「中国販路開拓のための4つの手段」
9/2(土)「中国人ビジネスパートナーの探し方と付き合い方」
 
時間はいずれも13時~15時です。
場所は宮城県よろず支援拠点上杉サテライト(宮城県仙台市青葉区上杉一丁目16番8号プロスペール本田3F)
定員は5名と少人数で行いますので、リラックスした雰囲気で、受講生同士の交流もできます。
参加費は無料です。
今回のセミナーを聞いていない方でも大丈夫ですし、どちらか片方の参加もOKですので、興味ある方はお気軽にお申込みください。
 
お申込みは宮城県よろず支援拠点のウェブサイトから申込み用紙をダウンロードし、FAXしていただくか、私まで直接ご連絡いただいても構いません。
 
参加お申込みをお待ちしております!
 

運転資金について知っておきたいこと(Vol.4) ~事業に必要となる資金の計算方法~

2017年6月26日
「運転資金について知っておきたいこと」シリーズ
「運転資金について知っておきたいこと(Vol.1) ~基本的な考え方~」
「運転資金について知っておきたいこと(Vol.2) ~業種別の運転資金その1~」
「運転資金について知っておきたいこと(Vol.3) ~業種別の運転資金その2~」
 
 
繰り返しになりますが、運転資金とは、売上と入金のタイミング、仕入れと販売のタイミングが違うために必要となる資金のことです。
 
計算式は以下の通り。
 
運転資金 = 売上債権 + 棚卸資産 – 仕入債務
 
売上債権・・・売掛金、受取手形等
棚卸資産・・・材料、仕掛品、製品、商品の在庫等
仕入債務・・・買掛金、支払手形等
 
 
今回は運転資金の構造を基礎に、固定費も含めた事業に必要となる資金の計算方法について書いてみたいと思います。
 
自分の事業を回すのにいくら必要なのかは、経営者であれば把握しておきたいところですし、銀行融資申し込みの際にも、申し込み金額が必要な理由をスマートに説明できるようになります。
 
会社を運営していくうえでは、これまでご紹介してきた運転資金の他に、毎月必要となる固定費があります。
例えば、人件費(社長の報酬も含む)、事務所の家賃、光熱費、通信費、交通費などの販管費、それから借入をしている場合の金融機関に支払う利息も含まれます。
 
ここで考える必要があるのは、自分の会社では、固定費の何か月分の現預金を用意しておく必要があるのかということです。
これを「必要固定費」とするならば、実質的に事業に必要となる資金は、運転資金+必要固定費ということになります。
 
何か月分の固定費を用意すればよいかということですが、これは入金タイミングと出金タイミングの差の分になります。
計算式としては、
売上債権の回収期間+棚卸資産の回転期間‐仕入債務の支払期間
となります。
 
例えば、以前の例のように、売上債権の回収期間が1ヶ月、商品在庫期間(回転期間)が0.5ヵ月、仕入債務の支払期間が1ヶ月だった場合、
1 + 0.5 – 1で0.5となり、計算上、固定費は0.5ヵ月分必要ということになります。
 
要は、入金タイミングと出金タイミングの差の分だけ、固定費も用意しておく必要があるということです。
 
この入出金タイミングの差は運転資金に比例するので、運転資金が大きくなる業種はこの「必要固定費」も大きくなりますし、逆にこの差がマイナスになる、つまり出金よりも入金が先に来るのであれば、「必要固定費」も小さくなります。
 
また、これはあくまで計算上の数字で、実際は日ごとの入出金タイミングによっては不足が生じる可能性があります。
際どい資金繰りの場合は、資金繰り表を作るなどして、より注意して管理してください。
 
次回は売上急成長で絶好調の時にこそ注意が必要な増加運転資金について書いていきたいと思います。

運転資金について知っておきたいこと(Vol.3) ~業種別の運転資金その2~

2017年6月19日
「運転資金について知っておきたいこと」シリーズ
「運転資金について知っておきたいこと(Vol.1) ~基本的な考え方~」
「運転資金について知っておきたいこと(Vol.2) ~業種別の運転資金その1~」
 
 
繰り返しになりますが、運転資金とは、売上と入金のタイミング、仕入れと販売のタイミングが違うために必要となる資金のことです。
 
計算式は以下の通り。
 
運転資金 = 売上債権 + 棚卸資産 – 仕入債務
 
売上債権・・・売掛金、受取手形等
棚卸資産・・・材料、仕掛品、製品、商品の在庫等
仕入債務・・・買掛金、支払手形等
 
 
今回は前回に引き続き、運転資金について業種・業態別の特徴を例を挙げながら説明していきます。
 
4.卸売業
卸売業の場合は、一般的には相応の運転資金が必要になる場合が多いです。
現金問屋でもない限り、普通は売上も掛取引が中心になるからです。
 
また、取り扱い商品が多い場合、在庫も相応に多くなります。
 
運転資金を小さくするには、なるべく仕入れから販売までのタイムラグを無くすことです。
粗利益率の低い卸売業の場合、仕入債務もそれなりの金額になるはずなので、仕入れた商品を素早く販売することで、棚卸資産を減らせれば、運転資金は抑えられます。
 
そのためには取り扱い商品の選別が必要になりますね。
 
 
5.製造業
製造業は運転資金が必要となる業種の代表例です。
 
まず、完成品だけでなく、材料や仕掛品も在庫になりますし、製造に一定の時間を要するため、棚卸資産は大きくなりがちです。
 
また、製品販売の際も売掛取引が一般的なうえに、支払いサイトも長いことがあります。
運転資金を小さくするためには、なるべく材料や中間部品、製品在庫を持たない、短い期間で製造するといったことで棚卸資産を少なくするための対策が必要になります。
かの有名なトヨタのジャストインタイムなどはまさにその典型ですね。
 
また、売掛サイトが短くなるような流通ルートを選ぶ、直販を行うなどで、売掛金を少なくする対策もあるでしょう。
 
なお、ソフトウェア開発業も運転資金の構造的には製造業に近いです。
余談ですが、私が過去に会社経営に失敗したのは、この運転資金の構造を知らなかったことも一つの要因です。
 
 
以上、身近な業種・業態を例に、いくつか運転資金についての特徴を書いてみました。
あなたの業種・業態ではどのくらい運転資金が必要かわかりましたか?
 
 
ところで、運転資金というと、会社を維持するために必要な資金というイメージで捉えられている方もいらっしゃいます。
 
実際、銀行融資申し込みの際にも「3か月分の運転資金をお願いします」といって、人件費や家賃などの固定費も含めた金額で申し込み、その金額で融資を受けたことがある方もいらっしゃるでしょう。
 
 
次回は、運転資金の構造を基礎に、固定費も含めた事業に必要となる資金の計算方法について書いてみたいと思います。
 
これを知っていると、銀行融資申し込みの際に、申し込み金額が必要な理由をスマートに説明できるようになります。