仙台・宮城の不敗戦略コンサルタント / 中小企業診断士 翠星企画株式会社 代表取締役 細野哲平ブログ

東北地方の中小企業経営者が会社を経営していくうえで
役立つであろう内容を中心にお届けしていきます。

ビジネスに必勝法はない

2021年7月14日
ビジネスには成功の方程式のようなものはありません。
 
ビジネスはサイエンスというよりは、アート寄りといわれています。
 
論理だけでは正解を導くことはできないのです。
 
他社の成功事例を分析して成功要因を抽出したとしても、それに再現性があるかはわかりません。
 
他社と自社の状況は違います。
 
同じことをしても、同じように成功するとは限らないのです。
 
 
ここで1つ問題です。
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部品メーカーA社は、大量注文を受注することに長けており、規模の経済で製造単価を下げ、高い利益率で成功していた。
 
それを見たB社は、
「何とかウチも大量注文を取って、大きな売上を獲得したい」
と考えた。
 
B社は、大量に注文を取るのは得意ではないが、別な得意分野があった。
 
どんなに複雑な形状の部品でも注文通りに正確に作り、高い品質で顧客から高い評判を得ていた。
 
顧客の要求水準が高いので、どんな注文にも応えることができる職人を揃えていた。
 
また、一回ごとに製品の形が違うので、色々な形に対応できる汎用性の高い工作機械も自社開発していた。
 
難易度の高い注文なので受注単価が高く、高い利益率を享受していたが、毎回の受注量はそれほど大きくないので、売上はA社の3分の1程度だった。
 
ラインはまだ十分な余裕があるし、若い社員もチャレンジ精神にあふれていた。
 
そんなとき、B社の評判を聞きつけたある企業から、大量の注文がきた。
 
形状は比較的シンプルなので、それほど高い技能がなくても作ることができる。
 
ところが、いつもの注文は、数百個なのに、数千個という多さだった。
 
しかし、大量生産すれば、製品1個当たりの単価が低減するので、利益率が高まる。
 
B社にとっては、ちょうどA社のように事業規模を大きくしたいと思っていた矢先だったので、喜んで注文を受け、製作に取り組んだ。
 
 
さて、このB社の試みは上手くいくでしょうか?
 
「このあと何が起こるか」を、可能な限り想定してみましょう。
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B社の強みは、技術力のある職人と、汎用性のある機械です。
 
今回のように、大量受注を受けるとその強みを活かすことはできません。
 
確かに一般的には大量受注でコストダウンは、一つの成功要因です。
 
しかし、これはB社にはあてはまりません。
 
実際には以下のようなことが起きました。
 
・職人のモチベーションダウン
技術力のある職人が、簡単な作業を大量にやるという仕事に対してモチベーションが下がってしまいました。
 
・コストアップ
技術力のある職人は当然コストも高いです。
これらの人たちが取り組むのですから、当然製造コストは上がります。
 
・自社開発した機械も無駄になる
少品種大量生産であれば、様々な品種に対応するための汎用機械は必要なくなります。
せっかくの強みが活かせないということです。
 
・仕事と給料のミスマッチが起きる
これはかなり致命的です。
今までは技術力を活かせる仕事があったからこそ、給料が高い職人たちも若手に認められてきました。
しかし今回のような簡単な仕事であれば、
「なんであの人たち、俺たちと同じ仕事をやっているのに給料たくさんもらっているの?」
という不満が出てきます。
ここから組織が内部崩壊していきます。
 
 
今回の問題からわかる通り、自社の置かれている環境や持っている資源を踏まえたうえで、自社ならではの正解を考える必要があるということです。
 
 
また、もう一つ重要なことをお伝えします。  
自社が過去成功したやり方と同じやり方で取り組んだとしても、再度成功するとは限りません。
 
過去と現在では市場や競合といった外部環境が変化していますし、内部の経営資源も変わっているはずです。
 
こうした変化を無視して、過去の成功体験にとらわれてしまうというのは、失敗の典型例ですのでご注意ください。
 
 
どんなビジネスであれ、100%成功するなどということはあり得ません。
 
いかに成功率を上げていくか、失敗率を下げていくかです。
 
そのためにはできることをしっかりやる。
リスクをきちんと管理する。
 
面白味はないかもしれませんが、結局はこういった当たり前のことが、当たり前にやれるかどうかなのではないでしょうか。
 
以上、参考になれば幸いです。
 
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表面的なモノマネでは成功しない

2021年6月18日
ビジネスにおいては、目に見えているノウハウに飛びつくほど危険なことはありません。
 
他社の成功を表面的に真似したとしても、失敗する確率が高いです。
 
「A社はこんな商品出して成功したからうちも同じ商品を出そう」
「B社はこんな人事制度をやってうまくいっているらしい。うちも真似しよう」
 
こういう表面的なモノマネでは成功は難しいということです。
 
目に見える表面的なノウハウよりも、目に見えないものの方がはるかに重要です。
 
 
目に見えないものとは、例えば以下のようなものです。
 
1. 組織文化(価値観)
2. 能力
3. 全体のつながり、仕組み(一貫性、整合性)
 
 
たとえばセブンイレブンの1店舗あたり売上高は、他チェーンより10万円以上多いそうです。
(セブン67万円、ローソン55万円、ファミマ53万円)
 
2016年2月11日のダイヤモンド・オンラインの
「セブンイレブンだけがなぜ売れるのか?鈴木敏文氏の仮説検証力」
というタイトルの記事に以下のように書かれています。
 
『結論からいうと、商品が買い上げられるスピードが違うのだ。これは有名な話なのだが、海辺の町で、釣り船の発着場へ続く道沿いにセブン-イレブンの店があった。ここで、いつも同じおにぎりの品揃えをしていれば、商品が買い上げられるスピードは他社と同じになる。
 
 ところが、「この週末は暑くなりそうだ。そうすると、お客さんも早朝に買いに来たとき、炎天下でも痛みにくい梅のおにぎりを選ぶのではないか」という仮説を立てるのがセブン-イレブンなのだ。そして、梅のおにぎりをいつもより多めに品揃えしておくと、それが瞬く間に売れる。
 
 長い冬の終わりごろ、少し温かくなる日がある。そうしたとき、「冬の間食べていなかった冷やし中華やアイスクリームを、急に食べたくなる人たちがいるのではないか」と仮説を立てる。それに合わせて品揃えを充実させておくと、それがまた売れる。こうした仮説を立て、商品が買い上げられるスピードを極限まで高めた結果が、圧倒的な1店舗あたりの売上高に表れているのだ。』(記事より抜粋)
 
 
要は仮説検証力が高いということなのですが、これを身に着けるためにセブンは以下のような取り組みを行っているそうです。
 
・2,000名を超えるOFCと呼ばれる店舗支援担当の社員が各地から週1回東京本部に集まり、全国で行われた検証活動から得られた洞察を吸収する
 
・OFCは担当地域の店舗を訪問し、店長や店員が仮説を立てるのを支援するとともに、POSデータを使って仮説の検証を行い、彼らにフィードバックする
 
 
これをやるのにどれだけコストがかかっているのでしょうか。
 
普通の企業であれば、コスト削減の観点から、成功事例集をつくってメールで配信する、ビデオ会議に変えるなどになりそうですが、セブンではあえてダイレクトコミュニケーションにこだわっています。
 
そこで身につけられたのが、他店の社員を圧倒する仮説検証力ということです。
 
 
これは大企業の例ですが、中小企業であっても、強い企業、長く続いている企業というのは、必ず外からは見えない強みがあるものです。
 
例えば長年培われた技術、仕組み、ブランド、信用、人間関係など。
 
こういうものはたとえ知っていたとしても、簡単に真似をすることはできません。
 
逆に簡単に真似がされてしまうようなレベルのものであれば、成功要因にはなり得ないということです。
 
成功のカギは目に見えないところにあります。
 
よって、
「人に見えないものを見る」
力を養うことが重要ということですね。
 
以上、参考になれば幸いです。
 
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不信感を生む意思決定のやり方

2021年5月20日
今回は意思決定でよくある勘違いをご紹介します。
 
これをやってしまうと相手に不信感を抱かせてしまうので気を付けていただきたいと思います。
 
例題を通じて考えてみましょう。
 
現地法人A社は、米国企業Y社と取引があり、あるときY社に損害を与えてしまった。
それに対し、A社担当者は、ある解決策を提示したが、Y社はそれを了承しなかった。
この場合、あなたがA社長ならどうしますか?
 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 
いかがでしょうか。
これと似たようなことはよくあるかと思います。
 
このような場合、よくある解決方法の流れは、次の通りです。
 
まず、とりあえず静観。様子を見る。
「相手がどう出るかいったん様子を見ようか」
といった感じですね。
 
そこでY社が再度文句を言ってきたとします。
そうしたら、A社が提示した解決策を更に詳しく説明して納得をしてもらおうとします。
 
それでもまだ駄目な場合。
今度はY社に理解してもらうために、自分の上司、場合によってはA社の社長がY社に出向いて解決を図ろうとします。
 
それでも解決しない場合。
その場合は妥協に入ります。
Y社が自社にとって重要なお客さんなのであれば、最終的には相手の言い分を飲むことにします。
 
 
だいたいこんな感じのプロセスになります。
心当たりのある方もいらっしゃるかもしれません。
 
一般的に、このようなやり方はプロセスとして当然のことのように思われています。
 
この流れの中のどこかで片付くだろうと考えます。
 
 
ただ、これを問題解決の視点でとらえた場合、この「静観」から「説明」、それから「理解を求める」、そして「妥協」。
実はこれらはプロセス(流れ)ではありません。
 
これはプロセスではなく、複数の選択肢と考えることができます。
 
たとえばA社に全く非が無ければ、それは静観してもいいし、最後までとことん無視し続けるべきです。
 
もしY社がA社の解決策を誤解しているのであれば、説明をして理解を求める必要があります。
 
妥協することが最適な場面であれば、すぐそのプロセスを考える必要があります。
 
非は全てA社、つまり自分にあるのであれば、さっさと非を認めて謝ってY社の損害を償う対応が求められます。
 
 
曖昧な態度をとる人というのは、このプロセスと複数選択肢を混同しています。
 
これはよく間違えるので注意してください。
 
逆にこれを混同せず、複数選択肢の発想で対応したのが、不幸な事件で有名な中国の「天安門事件」です。
 
この事件は政府による民間人の大虐殺ということで、世界中の世論を敵にしました。
 
中国政府の暴力的な弾圧に対して、世界中が批判をしました。
 
ところが、その時中国政府はどうしたか。
 
最後までとことん無視し続けたのです。
 
事件に関して、未だ何のコメントも出していません。
 
やったことの良し悪しはともかく、中国政府は無視するということが最善の選択肢だと意思決定したのです。
 
海外からの圧力に対して、説明したり、理解を求めたり、妥協や言い分を飲んだりはしませんでした。
 
これらの選択肢の中から「無視する」という選択肢を選んだ、つまり意思決定したのです。
 
 
複数選択肢の領域にも関わらず、それをプロセスと間違えた場合、対応が機敏でなくなると同時に、相手に誤解を与えやすくなります。
 
 
たとえば日米の経済摩擦が実際にジャパンバッシングにまでエスカレートしました。
 
あれは日本側がこの2つを混同したからです。
 
日本はきちんと説明できる選択肢を提示していません。
 
自分に都合がいい選択肢、たとえば静観や無視などでまず対応しました。
 
そうすると相手が圧力をかけてきます。
 
すると違う選択肢をしぶしぶ出します。
「そう来るならもう少し譲歩しようかな」といった感じです。
 
それを見た海外の国々はどう思うでしょうか。
 
「だったらもっと圧力をかければいいんだな」
と考えます。
 
そうすると本来は対等の立場の交渉のはずなのに、一方的なバッシングになってしまいます。
 
そしてそんな日本人のことを、海外の人たちは「日本人はよくわからない」
あるいは、
「ずるいな」
といったように誤解をしてしまいます。
 
 
こういった国際的な場面だけでなく、ビジネスの場合もプロセスと複数選択肢を取り違えると起こさなくてもよいトラブルにつながってしまいます。
 
 
周囲にこういう人はいないでしょうか?
はっきり言いにくいことがあると、
「ちょっと考えさせてくれ」
といって、自然消滅を待つような人。
 
これは日本人特有の慣習です。
 
だから海外の人にはそれがわかりません。
日本人にとってはそれが「和を以て貴しとなす」なのですが。
 
この「はっきり言わない」というのが、日本人のグローバルで考えると悪い部分です。
 
我々日本人目線で考えると、世界に対して色々貢献しているはずなのですが、こういったところが原因で誤解を受けているのが残念です。
 
そういった意味でも意思決定はきちんとすべきです。
 
プロセスと複数選択肢を混同しないよう、くれぐれもお気を付けください。
 
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