スモールM&Aで事業を引き継ぐことの意味について(飲食店オーナーとのエピソードより)
東北6県における2022年の休廃業・解散件数は3271件で、このうち休廃業する直前期の当期純損益が「黒字」だった割合は51.5%にも上っていることをご存知でしょうか?
今回のコラムでは、先日に私がお会いした"黒字経営にも関らず廃業を選択しようとしている飲食店オーナー"とのエピソードをもとに、"スモールM&Aで事業を引き継ぐことの意味"について考えてみたいと思います。
そのオーナーとお会いしたのは、中小企業診断士の仲間から「知り合いの飲食店オーナーが店をやめると言っているが、一度、スモールM&Aの話をしてみてくれないか」と頼まれたことがキッカケでした。
オープンから14年が経つその飲食店は、街の中心部から車で5分ほどにあり、70歳近いオーナーが経営する、近隣住民に愛される人気店でした。
コロナ禍にあっても経営は順調でしたが、今年始めに、オーナーと一緒に店を切り盛りしていた奥様が体調を崩され、現在は、馴染み客を相手に完全予約制で細々と営業している状態にありました。
また、オーナーには同じ料理人の道を歩む息子さんがおられますが、その息子さんは、勤め先のオーナーの強い希望で、首都圏の有力飲食店を継ぐことが決まっているそうです。
このような状況から、オーナーは、当店を閉めることを真剣に考え始めたとのことでした。
当店の処分については、「当店は、路面店で駐車場も完備、昨年末にはコロナ感染症対策で約2百万円をかけ換気・厨房設備を一新しており、居抜き物件として悪くない物件だと思うが、そこそこの金額で買い手が見つかれば満足だ」との考えでおられました。
私の方から、スモールM&Aの概要を説明させていただきましたが、オーナーは「何故にうちのような店がM&Aに関係するのか」と言われ、怪訝な表情で私を睨んでおられました。
そこで、当店をオープンするまでの経緯やこれまでの苦労話などを伺うことにしたのですが、以下のとおり、オーナーの口からは当店の魅力が次から次へと語られたのでした。
・20歳前半から県内の有名料理店で経験を積み、料理長として店を任せられたが50代半ばで独立し当店をオープンしたこと
・独自の食材仕入ルートを持っており、良い商品を安価で提供できること
・有名料理店時代から苦労して作り上げた秘伝のタレがあること
・商品メニューや盛り付け等で様々な工夫がこらされていること
・店内は不思議と居心地が良く、年齢・性別に関係なくリピーター客が多いこと
・当店のファン顧客が作成したキャラクターやロゴ(プロ級のもの)があること 等々
思わず私は、「オーナー、スモールM&Aで当店の事業を継いでくれる二代目を探しませんか」、「次世代の方で、当店を是非とも継ぎたいという人、人柄も良くやる気のある人、そんな後継ぎが見つかるかもしれません」と言ってしまいました。
そうしたところ、「そんなことが出来るのか、出来るなら嬉しいね...」と言い、オーナーは表情を和らげたのでした。
今回のエピソードはここで終わりますが、当店のみならず規模は小さいけれど「地域にとって残したい・残すべき大切な事業」が、経営者の高齢化や後継者不足が原因で失われていっています。
翠星企画チームSKでは、放置しておくと失われてしまう地域の事業価値や経営資源を未来につなぐため、経営者の皆様に、スモールM&Aが選択肢の一つにあることを知っていただき、そしてご支援させていただくことを我々の役割りと考え、日々活動しております。
以上、参考になれば幸いです。
翠星企画パートナーコンサルタント
飯田 良子
参考資料:株式会社帝国データバンク 「東北6県「休廃業・解散」動向調査(2022年)」
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