運転資金について知っておきたいこと(Vol.1) ~基本的な考え方~
会社を経営している人であれば、「運転資金」という単語を聞いたことはあるかと思います。
しかし、日々、経営者の方とお話していると、運転資金についていまいちピンと来てない方もいらっしゃるので、ここで何度かに分けて運転資金についてのエントリーを書いてみたいと思います。
そもそも、運転資金とは何かということについては、過去エントリー「銀行融資の返済期間って何年にすればよいのか?(運転資金編)」にも書きましたが、以下の通りです。
運転資金 = 売上債権 + 棚卸資産 – 仕入債務
売上債権・・・売掛金、受取手形等
棚卸資産・・・材料、仕掛品、製品、商品の在庫等
仕入債務・・・買掛金、支払手形等
例えば、以下のような卸売業の会社があるとします。
月商:100万円
売上原価:70万円
商品在庫:50万円(在庫期間0.5か月)
売掛金:100万円(回収期間1か月)
買掛金:70万円(支払期間1か月)
この会社の運転資金は以下の通りです。
100万円(売上債権)+ 50万円(棚卸資産)- 70万円(買掛金) = 80万円
この会社の運転資金は80万円ということですが、これが何を意味するかというと、この会社の商売を回す(継続していく)ためには、少なくとも80万円の現預金が必要ということです。
そもそも何故、運転資金が必要になるかというと、売上と入金のタイミング、仕入れと販売のタイミングが違うからです。
このタイミングの差を埋めるために必要な資金が運転資金です。
売上と入金が同じ、つまり現金商売であれば、売上債権は0のはずです。
また、仕入れた商品が即販売できるのであれば、在庫、つまり棚卸資産も0になります。
そういう商売の形態であれば、運転資金は必要ありません。
しかし、多くの商取引では、掛売がありますし、仕入れた商品がすぐに売れるわけではないことが多いでしょう。
ですので、多くのビジネスでは運転資金を用意する必要があるのです。
なお、必要な運転資金は業種やビジネスの形態によって変わってきます。
次回はそのあたりを説明したいと思います。