機会費用を踏まえた経営判断
今回のエントリーでは機会費用を踏まえた経営判断についてご紹介します。
最初に機会費用とはなんぞや?ということですが、定義的なことを書くと、「ある選択肢を選んだ際に、他の選択肢を選べば得られたであろう最大の利益」ということです。
元々は経済学上の概念です。
そういわれてもピンとこない方もいらっしゃると思いますので、1つ具体的な数字を入れた例を挙げてみましょう。
アルバイトに行けば時給900円を稼げる人が、遊びに行くか4時間バイトに行くかで迷っているとします。
もし遊びに行くという選択肢を選んだ際の機会費用は、本来4時間のアルバイトをしていたら得られた900円×4時間の3,600円です。
この場合、遊びに行くという行動の価値が自分にとって3,600円以上か否かで判断をするというのが機会費用を踏まえた意思決定となります。
機会費用はどの選択肢を選んだとしても必ず発生します。
ただし、選択肢によって大小の差があるので、それを踏まえた意思決定を行っていくということです。
先ほどの例だと、バイトに行った場合は、当然遊びに行くことはできないので、遊びに行った場合に得られる利益が機会費用になります。
具体的な金額にはならないかもしれませんが、その遊びが本人にとっていくらの価値があるかによって機会費用は異なります。
もう1つ例を挙げてみましょう。
客先での打ち合わせが終わり、自社オフィスに戻ろうとしている場面を想像してください。
タクシーで帰れば5分で帰れますが1,000円かかるとします。
徒歩で帰れば30分かかりますがお金はかかりません。
機会費用を考えないのであれば、タクシー代の1,000円はただの出費です。
他人から見れば無駄遣いと思われるかもしれません。
しかし仮にあなたが1時間6,000円稼げるとしたらどうでしょう。
タクシーに乗ることで得られる25分の価値は2,500円です。
そうすると、徒歩を選んだ際の機会費用は2,500円ということになります。
タクシーを選んだ際の機会費用は浮かすことができるタクシー代の1,000円なので、機会費用も踏まえて両選択肢を比較すると、タクシーに乗った方が合理的な選択ということになります。
もし誰かに「タクシーになんか乗って無駄遣いしないでください」と言われても、上記に基づいて反論することができるでしょう。
ただし、それはあなたが1時間2,400円以上稼げることが前提です。
(この例の場合です。何故そうなるのかは計算してみましょう)
機会費用は経営判断を行う上で欠かせない概念です。
日常の些細なことから、重要なものまで幅広く使えますので、是非この機会に覚えておきましょう。
また、似たような言葉で機会損失(チャンスロス)という言葉がありますが、これとは全く別物なのでご注意ください。
機会損失の定義は、「最善の意思決定をしないことで本来得られたはずの機会(利益)を逃すこと」です。
こちらも重要な概念なので、いずれ別な機会に書きたいと思います。