成長の壁を乗り越えるための経営実践ノウハウ集
2017年6月19日

運転資金について知っておきたいこと(Vol.3) ~業種別の運転資金その2~

起業・経営について

「運転資金について知っておきたいこと」シリーズ
「運転資金について知っておきたいこと(Vol.1) ~基本的な考え方~」
「運転資金について知っておきたいこと(Vol.2) ~業種別の運転資金その1~」
 
 
繰り返しになりますが、運転資金とは、売上と入金のタイミング、仕入れと販売のタイミングが違うために必要となる資金のことです。
 
計算式は以下の通り。
 
運転資金 = 売上債権 + 棚卸資産 – 仕入債務
 
売上債権・・・売掛金、受取手形等
棚卸資産・・・材料、仕掛品、製品、商品の在庫等
仕入債務・・・買掛金、支払手形等
 
 
今回は前回に引き続き、運転資金について業種・業態別の特徴を例を挙げながら説明していきます。
 
4.卸売業
卸売業の場合は、一般的には相応の運転資金が必要になる場合が多いです。
現金問屋でもない限り、普通は売上も掛取引が中心になるからです。
 
また、取り扱い商品が多い場合、在庫も相応に多くなります。
 
運転資金を小さくするには、なるべく仕入れから販売までのタイムラグを無くすことです。
粗利益率の低い卸売業の場合、仕入債務もそれなりの金額になるはずなので、仕入れた商品を素早く販売することで、棚卸資産を減らせれば、運転資金は抑えられます。
 
そのためには取り扱い商品の選別が必要になりますね。
 
 
5.製造業
製造業は運転資金が必要となる業種の代表例です。
 
まず、完成品だけでなく、材料や仕掛品も在庫になりますし、製造に一定の時間を要するため、棚卸資産は大きくなりがちです。
 
また、製品販売の際も売掛取引が一般的なうえに、支払いサイトも長いことがあります。
運転資金を小さくするためには、なるべく材料や中間部品、製品在庫を持たない、短い期間で製造するといったことで棚卸資産を少なくするための対策が必要になります。
かの有名なトヨタのジャストインタイムなどはまさにその典型ですね。
 
また、売掛サイトが短くなるような流通ルートを選ぶ、直販を行うなどで、売掛金を少なくする対策もあるでしょう。
 
なお、ソフトウェア開発業も運転資金の構造的には製造業に近いです。
余談ですが、私が過去に会社経営に失敗したのは、この運転資金の構造を知らなかったことも一つの要因です。
 
 
以上、身近な業種・業態を例に、いくつか運転資金についての特徴を書いてみました。
あなたの業種・業態ではどのくらい運転資金が必要かわかりましたか?
 
 
ところで、運転資金というと、会社を維持するために必要な資金というイメージで捉えられている方もいらっしゃいます。
 
実際、銀行融資申し込みの際にも「3か月分の運転資金をお願いします」といって、人件費や家賃などの固定費も含めた金額で申し込み、その金額で融資を受けたことがある方もいらっしゃるでしょう。
 
 
次回は、運転資金の構造を基礎に、固定費も含めた事業に必要となる資金の計算方法について書いてみたいと思います。
 
これを知っていると、銀行融資申し込みの際に、申し込み金額が必要な理由をスマートに説明できるようになります。

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