仙台・宮城の中小企業診断士 / 経営コンサルタント 翠星企画株式会社 代表取締役 細野哲平ブログ

東北地方の中小企業経営者が会社を経営していくうえで
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比較優位を踏まえた役割分担

2018年10月14日
前回の機会費用に引き続き、経済学上の概念を経営に活用する方法をご紹介します。
 
今回は比較優位です。
 
最初に比較優位とはなんぞや?ということですが、ウィキペディアによれば、「自由貿易において各経済主体が(複数あり得る自身の優位分野の中から)自身の最も優位な分野(より機会費用の少ない、自身の利益・収益性を最大化できる財の生産)に特化・集中することで、それぞれの労働生産性が増大され、互いにより高品質の財やサービスと高い利益・収益を享受・獲得できるようになることを説明する概念」ということです。
 
この説明を読んでもちょっとピンとこないかもしれませんね。
 
例えば、工業製品の生産が得意な国と、農業が得意な国があったとして、それぞれが得意分野に集中特化して互いに貿易をした方が、各国が独自に工業製品生産、農業生産を両方行うよりも大きな利益を得られるということです。
 
 
この考え方を活用して、会社の中の業務役割分担を考えることができます。
例えば、営業が得意なA君と、企画書作成が得意なB君がいたとします。
A君は1時間でアポ4件取れる代わりに、企画書は2つしか作れません。
B君は1時間でアポは1件しか取れませんが、企画書は4つ作れます。
 
そうであれば、当然、営業はA君に、企画書はB君に作らせるのが効率的ですね。
2人合わせて1時間でアポが4件取れて、企画書が4つ作れることになります。
 
では、仮にB君が仕事に就いたばかりで、1時間でアポ1件、企画書も1つしか作れなかったとしたらどうでしょう。
営業も、企画書作成もA君に劣るB君は、職場において活躍の場所はないのでしょうか。
 
 
しかし比較優位の考え方を活用すれば、たとえ全ての能力が劣っていたとしても、その人が特化すべき点に集中すれば、全体の利益の拡大に貢献することができるのです。
 
ここで前回ご紹介した機会費用の考え方を使います。
機会費用の定義は「ある選択肢を選んだ際に、他の選択肢を選べば得られたであろう最大の利益」です。
(詳しくは前回エントリー参照)
 
まずA君。
アポ取得1件あたりの機会費用は企画書0.5分です。(アポ1つ取るために、企画書0.5分を失ったと考えます)
これに対して企画書1つ作成をした場合の機会費用はアポ2件分です。
 
次にB君。 アポ取得1件あたりの機会費用は企画書1つです。
これに対して企画書1つ作成をした場合の機会費用はアポ1件分です。
 
企画書作成で考えれば、A君よりB君の方が機会費用が小さいことがわかりますね。
(ここでは、アポ1件と企画書1件は等価と考えます)
よって、B君は機会費用で優位にある企画書作成に集中することで、全体としては成果物を増やすことができます。
 
 
例えば、A君、B君ともに4時間を営業と企画書作成にそれぞれ2時間ずつかけた場合。
A君はアポ8件、企画書4つ。
B君はアポ2件、企画書2つ。
合計でアポは10件、企画書は6つです。
 
これに対して、A君は営業に4時間、B君は企画書作成に4時間かけた場合。
A君はアポ16件、企画書0。
B君はアポ0件、企画書4つ。
合計でアポは16件、企画書は4つです。
 
ここではアポ1件と企画書1つは等価として考えているので、合計成果物数で比較すると後者の方が4つも増えることになります。
 
 
いかかでしょう。一度文章を読んだだけで理解することは難しいかもしれませんが、ご自身でゆっくり計算されるとわかるはずです。
 
 
ここで言いたかったことは、たとえ全てで能力が劣っている社員でも、必ず活躍の場所はあるということです。
比較優位の考えをもとに業務配分を行えば、全体の利益拡大に繋がります。
 
大事なことは適材適所の役割分担ということですね。
そのためには各社員の強みを見つける必要があります。
 
 
以上、ご参考になれば幸いです。