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致命傷を回避するための経営実践ノウハウ集

致命傷を回避するための経営実践ノウハウ集
2017年11月27日

昔のことを引きずるな!サンクコスト(埋没原価)について

起業・経営について

これはとある中小企業のお話です。
海外に現地子会社を設立したところ、経営が思ったようにうまくいかず、現地側からの改善提案もあったのでそれに従って何度か追加投資をしたものの、一向に経営が軌道に乗る気配は見えません。
ここまで投資した金額は約3億円。
中小企業にとっては少なくない金額です。
 
日本側としては、正直、もう見込みがないと感じ始めているのですが、現地側からは「もう5,000万円投資してもらえれば必ず軌道に乗せる」と再度の追加投資要請が来ています。
 
日本側は追加で5,000万円投資するか否かについて検討することとなりました。
 
 
もしここで手を引くとすると、これまで投資した3億円は回収の見込みはなくなります。
つまり、3億円の損失が確定するということです。
 
社内からは「これまで3億円も突っ込んできて今更止められるか」という声もあります。
 
 
しかし、この3億円はサンクコスト(埋没原価)といって、たとえ事業を止めたとしても決して戻ってこない費用(原価)です。
本来、意思決定において考慮から外さなければなりません。
 
ですので、あるべき考え方としては、3億円の投資のことは忘れて、5,000万円追加投資した場合に、将来5,000万円以上の回収が見込めるか否かで判断する必要があります。
 
つまり、この時点では5,000万より1円でも多く回収できるのであれば、追加投資するのが合理的な判断となります。
 
初期投資と合わせた3億5,000万円を回収できるか否かで考えるのではないのです。
 
 
こうやって書くと理屈では皆さん納得できると思いますが、これが自分が投資の当事者になるとなかなか正常な判断ができなくなります。
(経験ある方はよくおわかりでしょう)
 
 
例えば以下のようなことに身に覚えがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
・映画館に入ったけど全く面白くない。だけどチケット代払ったから最後まで見る。
 
・ギャンブルで多額の損失を出している。この損失を埋めるまではギャンブルを止められない。
 
・付き合っている恋人とうまくいかない。だけどこれまで付き合ってきた時間や相手のために使ったお金を無駄にしたくない。
 
 
 
人間、なかなか過去の失敗を認めたくはありません。
 
しかし、未来をよくするためには、過去の失敗を認め、昔のことはすっぱり忘れて前へ進む必要がありますね。

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