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致命傷を回避するための経営実践ノウハウ集

致命傷を回避するための経営実践ノウハウ集
2015年3月1日

焦げ付いた売掛債権の回収には苦労します

起業・経営について

焦げ付いた売掛債権の回収には苦労します
 
今日は私の過去の失敗談をお話します。
 
昔、ソフト開発会社を経営していた頃、主に受託開発をやっていました。
受託開発の流れとしては、お客様より依頼を受けて開発業務を行い、成果物を納品し、対価をお支払いいただくという形になります。
 
ところが、きちんと納品したにも関わらず、指定のお支払日に入金が無いのです。
先方へ連絡してみると、
「申し訳ないが今はキャッシュが不足していて払えない。今月、売上が入金されるから、それまで待ってもらえないか」
とのこと。
 
まぁ仕方ないかと1ヶ月待ってみるものの、やはり入金はありません。
「うちもお客さんからの入金が遅れている。申し訳ないけどもう少し待ってほしい」
その時の金額は100万円ちょっとだったはず。小さな会社には厳しい金額です。
「うちも厳しいので早く払って欲しい」と言ってはみるものの、ノラリクラリとかわされます。
 
こんな状態になったら、この取引先は貸倒懸念先とし、新規の受注なんてもってのほかでしょう。
ところが、売上が下落傾向にあり、焦っていた私は、その会社からの注文を更に受けてしまうのです。
 
「この仕事をやってもらえないと、うちも製品が出せないから支払いができない」
「これが終わったらこれまでの分もまとめて払うから」
「迷惑かけているし、見積りは少し高めでも大丈夫だよ」
そんなこんなで言いくるめられて(?)、気が付くとその会社への債権額は500万円近い金額に・・・
これをお読みの皆さまは、「なんて馬鹿な奴なんだ」とお思いでしょう。私もそう思います。しかし、会社がピンチに陥ると、正常な判断ができなくなってきます。
「自分はそんな馬鹿なことはしない」と思っていても、実際、自身がその立場に立つと、どうなるかわからないと思います。
人間弱いもので、追いつめられるとどんどんおかしくなっていくものです。
 
それはさておき、この債権を回収すべく動かなくてはなりませんでした。
当時は既に、そのお金が無いと従業員への給与すら払えない状態になっていたのです。
 
以来、ほぼ毎日、電話&訪問でお支払いのお願いです。
ここで間違っても脅迫まがいなことをしてはいけません。あくまで「お願い」のスタンスを貫く必要があります。
漫画なんかでは、「消費者金融ビルを上から順に回ってこい」なんてシーンもありますが、実際やったらアウトです。刑事事件にでもされたら終わりですからね。
 
結果としてはこの会社からは約3ヶ月に渡る「お支払のお願い」を経て、全額回収することができました。(サラッと書いていますが、実際は大変な労力をかけています)
現金で持ってきていただきましたので、500万円近い現金を数えるのに時間がかかった記憶があります。
 
しかしこれは運が良かったケースだと思います。相手に倒産されていたらほぼ全額貸倒れだったでしょう。
極論、お金がないところからはどうやっても取れないのです。
「お金は借りた方が強い」というのもよく実感できました。
 
ちょっと長くなってしまいましたが、今日、この記事で何をお伝えしたかったかというと、
・受注は代金回収のことまで考える
・取引先ごとに与信枠をきちんと設定する
・貸倒が懸念される取引先からの新規受注は絶対にNG
 
ということです。
 
焦げ付いた売掛債権の回収には本当に苦労しますので、思い当たるフシがある方はくれぐれもご注意ください。

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