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致命傷を回避するための経営実践ノウハウ集

致命傷を回避するための経営実践ノウハウ集
2018年12月4日

役員報酬は減額も簡単ではない

起業・経営について

法人を経営されている方であればご存じだとは思いますが、役員報酬を損金に算入するためには”定期同額給与”であることが原則で、役員報酬の金額を変更できるのは会計期間開始の日から3か月を経過するまでの間に毎年1回のみとなっています。
(あくまで損金に算入できるか否かで、役員報酬の変更自体は自由にできるのですが、それをやってしまうと損金に算入できずに、その分の税金がかかってしまいます)
 
理由としては、役員報酬を自由に増減できてしまうと、利益調整に用いられてしまうからです。これにより税金が変わるということで、法人税法に定められています。
 
 
自由に役員報酬を増やすことはできないということは、ほとんどの経営者の方はご存知かと思います。
 
ただ、時々、減らすことはできると勘違いしている方がいらっしゃいます。
 
確かに法人税法にも、「経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由」に該当する場合は、期の途中でも役員報酬を減額できると記載があります。
 
ですので、「今期は思ったように業績が伸びず、赤字になりそうだから役員報酬をカットしよう」ということで、期中に役員報酬を減額しているケースを時々見かけます。
 
 
しかし、期中の役員減額で損金算入するためには、「第三者である利害関係者(株主、債権者、取引先)との関係上、役員給与の額を減額せざるを得ない事情が生じたため」ということに該当する必要があります。
 
要は第三者が絡んでいる必要があり、単に「赤字になるから」レベルでは認められないということです。
たとえば債権者との関係であれば、「銀行に提出する経営改善計画の中で役員報酬減額が施策として入っている」くらいのレベル感である必要があります。
経営者の主観で「赤字になると融資が受けにくくなるかも」くらいではダメということです。
 
これらを知らずに役員報酬を期中で減額してしまった場合、期中減額前の減額差額分が損金算入できなくなってしまい、その分の税金がかかってくることになります。
 
減額の時期や減額した金額、対象役員の数によっては、結構な金額になってしまいますので、くれぐれもご注意ください。
 
以下のPDFに詳細が書かれていますのでご興味ある方はご覧ください。(国税庁 役員報酬に関するQ&A)
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/qa.pdf
 
 
 
ところで何故こんなエントリーを書いたのかというと、私自身がうっかりやらかしてしまったからです。おかげ様で今期はより多くの税金を国のため、地域のために納税させていただけることになりました(笑)
 
こんな間抜けなことをやらかすのは自分くらいかと思って周りに聞いてみると、意外とご存じない方も多かったので、あえて己の恥をさらしながらも情報共有させていただくこととしました。
 
ご参考になれば幸いです。
 

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