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致命傷を回避するための経営実践ノウハウ集

致命傷を回避するための経営実践ノウハウ集
2018年12月25日

小さな会社の役員報酬の決め方

起業・経営について

当社は10月決算なので、つい先日、申告と納税が終わりました。
今期も関係各位のご理解ご協力のおかげで潰れることなく無事決算を迎えることができました。
 
ちなみに今期も増収です。これで創業以来、6期連続増収を達成しました!
第8期にあたる今期についても、引き続きお客様に価値を提供し、当社の活動を通じて少しでも仙台、宮城、東北地方の発展に貢献できたらと考えております。
 
 
さて、本エントリーの本題は役員報酬の決め方です。
役員報酬を損金(税務上の費用)とするには定期同額給与とする必要があり、金額を変更できるのは期首から3か月以内というのが原則です。
 
ですので、法人税等の申告、納税を終えて、(株式会社なら)株主総会を開くタイミングで変更する金額を決定するというのが一般的です。
 
 
では、その報酬額はいくらにしたらよいのでしょうか。
前提として、社長個人、法人共に、なるべく税金等の負担を少なくし、法人も赤字にはしない形を求めていくとします。
(ここでは報酬額を社長1人の判断で決められるような小さな会社を想定しています)
 
 
そのためには今期、どれだけ売上があって、経費がかかり、利益がいくら残るのかという計画が無いと計算しようがありません。
 
経費については、基本的には、前期の金額を見ながら、今期取り組む内容などを踏まえて増減させればよいでしょう。
 
売上については安定的な売上が多く、予測がつきやすい会社ならばよいのですが、受託系の事業を営んでいる会社など、スポットの売上が多く、売上が読みにくい会社の場合は、これまでの傾向を踏まえて現実的な目標を決めていただく必要があります。
 
 
これらを計算した上で、役員報酬をいくら取るべきかということを決めていきます。
以下は私の考え方ですので、必ずしも正解というわけではないということをあらかじめお断りしておきます。
 
 
まず、売上目標はかなり保守的に見積もって、これならほぼ達成できるだろうという線にします。
経費については、逆に多少の余裕を持った見積もりにしておきます。(往々にして売上は見込み以下、経費は見込み以上になりがちなので)
 
 
そこで出た法人利益額が現在の役員報酬に加えて増額できる部分です。
その金額をそのまま現在の役員報酬額に加えてもいいのですが、ひと工夫するならば、社会保険料の標準報酬月額の幅を意識してください。
 
例えば、役員報酬を月575,000円にしようと考えたとします。
575,000円の場合、標準報酬月額は590,000円です。(なお、この金額には非課税の通勤費等も含むことにご注意ください)
標準報酬月額は590,000円というのは、575,000円以上、605,000円未満なので、この範囲内については同じ社会保険料ということです。
 
であれば、605,000円ギリギリまでは上げていきたいところです。
(604,999円ではさすがに狙いすぎ感もあるので、604,900円とか、604,000円とかが妥当な線でしょうか)
 
社会保険料は会社負担分も合わせると約30%の負担率です。中小企業で年800万円までの利益についての実効税率は約25%なので、それであれば法人で利益を出した方が最終的に手元に残る金額は大きかったりします。
 
 
上記で利益計画を保守的にしたのもそれが理由です。
想定以上に売上が伸び、利益が出たとしても、報酬を増やして社会保険料を払うよりも、法人で法人税を払った方が全体的にはお金が残ります。(中小企業で利益年800万円以下の場合に限ります)
 
節税というとついつい法人税や個人の所得税にばかり目が行きますが、この社会保険料を忘れてはいけません。
 
なお、社会保険料の標準報酬には上限があります。(厚生年金は月62万円、健康保険は月139万円)この上限を超えた報酬を支払えれば負担率としては下がってきます。ただ、そうすると今度は所得税の税率が上がってくるのでそのあたりのバランスの見極めは必要です。
 
まぁそうは言っても社長や会社が置かれた状況や価値観によって何が最適かは違ってきます。(これを言うと元も子もないですが)
 
個人資産を作らなければならないのであればたくさん報酬を取らなくてはならないでしょうし、会社の財務諸表をよくするために会社に利益を残す必要がある場面もあるかと思います。
 
そこはやはり個別の判断が必要ですので、本エントリーはあくまでご参考程度にされてください。

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