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致命傷を回避するための経営実践ノウハウ集

致命傷を回避するための経営実践ノウハウ集
2017年12月24日

資本金1円の会社が財政的にNGな理由

起業・経営について

以前のエントリー「会社を設立するときの資本金はいくらにすればよいのか?」にて、資本金1円の会社は作れるけれども止めた方が良いというお話をしました。
 
そこでは、1.信用面、2.財政面、3.税金面の3つの観点から資本金の金額について書きましたが、今回は財政面についてもう少し突っ込んだことを書いてみたいと思います。
 
 
初めに結論を書いてしまうと、1円会社が財政的にNGな理由としては、設立してすぐに債務超過になるからです。
 
会計に疎い方向けに債務超過について簡単に説明しておくと、資産(*1)よりも、負債(*2)の方が上回ることを言います。
 
*1)現預金や売掛金、商品在庫、土地や建物や設備といった会社の資産となるもの
*2)他人から借りてきたお金のこと。将来支払わなければならない買掛金や未払金なども含む
 
 
1円の資本金では会社の営業に必要なものは何も買えません。
 
例えば1円で会社を設立したとして、貸借対照表(B/S)は資産勘定に現預金が1円、負債勘定0円、自己資本勘定1円だとしましょう。
 
そこで100円のボールペンを買ったとすると、会社の現預金は1円なので、社長の個人的資金から不足分の99円を出したとします。
すると会計上は負債勘定に社長借入金として99円が計上されることになります。
 
それにより貸借対照表は資産勘定0円、負債勘定99円、自己資本勘定-99円となります。
ボールペン1本であっという間に債務超過になることがおわかりでしょうか。
 
 
では、なぜ債務超過がダメかというお話です。
当然、金融機関からの評価は厳しくなります。ここでは詳しい話はしませんが、債務超過というだけでお金は借りにくくなると考えてください。
 
また、各種補助金の審査にも不利になる場合があります。
補助金の申請の際、財務諸表の提出が求められる場合がありますが、審査基準に「財務体質の健全性」が入っている場合、債務超過というだけで最低点に近い評価を付けられてしまう恐れがあります。
 
それから、何かの取引を始めようとした際に、相手先から信用調査をされて債務超過が発覚すると、取引見送りという判断をされてしまう恐れがあります。
 
 
このように、債務超過という事実は、会社の財政状態にかなり悪い印象を与えてしまうのです。
 
ですので、できれば最低限、通常に営業している範囲においては債務超過にならない程度の資本金を準備した上で会社設立にのぞみたいところですね。

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